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キリル・セレブレニコフ『ザ・ステューデント』を鑑賞。

突然、ファナティックなキリスト教信者になってしまった主人公、という「状況」が唐突に切り取られる。都合良い聖書の切り取りをパッチワークのようにして構築される主人公の行動同様、この状況も「文脈ゼロ」の姿勢として描かれる。聖典の後ろ盾を得て邪悪なガキと化した主人公の暴論は、一般人の嫌悪と得体の知れぬ羨望を呼んで黒い光を放つ。彼は、性教育を、進化論を、教会を、悪し様に批判して溜飲を下げる。まるで聖書の効能と欺瞞をテーマにしたコンセプトアートのような風情を感じたのだが、そんなものをここまで引きのある物語に仕上げたのは流石の才能だと思いました。

MCATM

@mcatm

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