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SNS 少女たちの10日間

(c) Caught in the Net

オーディションで集められた3名の女優が12歳の少女を偽り、SNSにプロフィールを投稿したら何が起こるかを描いたドキュメンタリー。50代の男が、12歳の女の子に「散歩したり、ココアとか飲ませたりしてあげるよ」と提案してて仰天する。それ、うれしい?ヌード写真を金で買おうとしてる奴の方が、理屈がわかるだけまだ安心で、この手の「謎の上から目線」は本当にどういうロジックが働いているのか全くわからない。不安になる。

アカウントを作り、プロフィール写真を投稿すると、5分で数件のメッセージが来るという異常事態。そのほとんどが、性的なつながりを強要し、少しでも応じるとそれをネタに脅迫に転じるという悪質さに、スタジオもドン引き。中でも強烈に粘着質で悪質な奴がスタッフの知り合いで、しかもその男が子どもを対象としたイベント企画の仕事に就いているということがわかったりして、ただただ鬱々とした時間が流れる。

それは、もう、予想通りのことが起こる。予告編を観れば、そこにほぼ全てある。それでもこの映画を改めて観るのは、そのねっとりと気持ち悪い感触と嫌悪感を味わうためでしかない。悪趣味であるが興味深く、目を背けてはなさないことってある。それと同時に、その意識を弄ばれているのではないか、その自意識そのものが紛い物で、単に純然たる悪趣味を露呈しているだけなのかも、とも思う。少なくとも、その葛藤の只中に自分を追いやることには、意義があるとは信じている。

正直、この企画の「正しさ」そして「正しいと信じているもの/行動」に対して、疑問がないというと嘘になる。合成されたヌード写真を使ったり、実際に会う約束を取り付けて隠しカメラで見張ったり、男性を「罠にかけようとする」行為の正しさについては判断の余地があるところだなと思うし、結果オーライな姿勢も感じる。バーラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサーク両監督のインタビューを読むと、そこはカウンセラー、専門家、弁護士、警察の全面協力があったから心配はなかったと言う。ただ、本当に「取材対象のその後すべての人生に責任を持っている」意識はあるのか。信じるしかないなと思う。

MCATM

@mcatm

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