愛の渦
窮鼠が噛んだ猫が結構強かったり、劣勢に立った人間が繰り出した必死の反撃すら、返す刀で切り返される。そんな敗北のカタルシスが好きなのかもしれない。例の「…いいですね」の件である。
ポツドールの代表作の一つ『愛の渦』の劇場映画化。持病の臆病と怠惰をこじらせて演劇には間に合わなかった人間として、適度な義務感を滾らせながら映画館で鑑賞。『ボーイズ・オン・ザ・ラン』でも最高のエンターティメントとして観せた監督・三浦大輔の底意地の悪さが存分に発揮された、口壁を噛み切った後のようなほろ苦さを持った青春映画になっていた。
「セックスがしたくてしたくてたまらない人たち」の集まる乱交クラブに参加するも、緊張と人見知りが度を超えてしまって、カラカラの喉が張り付き、声が異様に小さくなってしまった二人を見事に演じていた門脇麦(チョコラBBのCMは当然チェック済み)、池松壮亮( ノーチェック!)主役二人のおかげで、あの空間の出来事が己が体験のごとく印象的に記憶された。役者が皆よかった。新井浩文、何処にでもいる横暴な男を演じていて素晴らしい。俺たちのIKKU、無茶苦茶上手くなってた。あと、窪塚!腐っても窪塚ですよねー!
肝心なところを直接見せない演出を試みた結果、単にわかりにくくなってたり、若干映画としてブサイクなところもあったけど、間を長く取り、いたたまれない空間を作ることで、このままちんちんが短くなっちゃうんじゃないかと思うくらい居心地の悪い瞬間が何度も訪れた。観客も入っているみたいで(僕が観た回も超満員だった)、しばらく上映は続きそうなので、この逃げ場のない映画館ならではの「居心地の悪い」敗北のカタルシスを是非。
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