籠の中の乙女
かつて、海外で話題になっているが日本では絶対に公開されない、と噂になっていたギリシャ映画『Dogtooth』(そこまでグロテスクな描写があるわけではなく、性的なモラルの問題かと思います)。一切の外界の情報を遮断し、邸宅から外に出さないよう子供達を育てる一家の物語。そこに、息子の性欲を処理する為に雇われていた女性が持ち込んだあるモノが、その家庭に流れていたある種の「秩序」を破壊するまでの物語。
プロット聞いただけで面白くならないはずがない。こちらも期待値を上げ過ぎたせいで若干の期待外れ感を感じた事は否めなかったのですが、それでも当然、面白い。父親の築き上げる「世界」には存在しないもの、例えば「高速道路」は「革張りのソファー」、「電話」は「塩」と教えられ、外の世界は危険だから絶対に外に出ないようマインドコントロールされた娘二人息子一人の子供達。彼らはどこか幼稚で、白昼夢を見ているような表情を崩さず、単純に出来た秩序の中で生きているが故に、少しのズレで決定的にバランスを崩してしまうのではないかという危うさを抱えている。淡々と描かれたその様子は、恐ろしいというよりもどこか滑稽。
ただ単に「キチガイによる異常な物語」と片付けるには、あまりに淡々として理不尽な物語に、これは実は「教育」の本質的な部分、つまり仮の秩序をでっち上げる事で成立する世界の危うさ、みたいなものを描いた物語なのかなとも思いました。ただ「期待値」の件とは別で、ちょっと残念だったのは、物語の締めくくり方。詳しくは本編を観ていただくとして、どうも映画監督のやるべき最低限の誠意を欠いているようにも思えるラストでした(例えば、唐突なエンディングでおなじみ『エル・スール』だって、原作をそのまま撮れないという悪条件の中、最低限の物語的なけじめをつけようとしていたのに)。根本的には全くもって悪い映画ではない(むしろ傑作)ので、ヨルゴス・ランティモス監督、数作以内にもっと決定的な作品を撮ってくれるんじゃないかと、今から楽しみにしています。
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