ダークレイン
「豪雨の中、田舎のバスステーションに足止めを食った乗客たちが、謎の発作に襲われて一人、また一人と倒れていく…。発作の原因は何なのか、乗客たちの運命は…」とかいうみたいな惹句で、「これはオレの映画や!」と心高ぶる猛者は、こんな文章読まずに映画館に走って欲しい。「未体験ゾーンの映画たち2017」で上映されている『ダークレイン』は、なるべく予備知識ゼロ、もしくは間違った知識を詰め込んでから劇場に赴くと良い。例えばこの予告。
(以降、一応ネタバレはないんですけど、先述の通り、なるべく何の情報も仕入れずに行くと良いと思います)
彩度が極端に抑えられほぼ白黒に近い、フィルムを模したテイストの映像がこちらの期待を否が応でも高めてくれるオープニングは、さながらヒッチコック。ド頭から「これはジャンル映画ですよ!」のサインはバッチ リ刻印されている。OK、分かってる。こういうのは8割ゾンビ、1割伝染病で、残り1割サイコパスと相場が決まってるんですわ…(適当に言ってます)とギンギンに鼻息を荒げながら観ていくと中盤、本当に衝撃の展開が訪れ、観客が席からズリ落ちる音が聞こえた気がした。
驚くべき世界観を提示したこの監督はイサーク・エスバン。全く初見だったが、前作『パラドクス』も傑作らしく、俄然興味が湧いています。とにかく独創的。チープだけど引き込む力と、それっぽく見せるセンスが抜群。
大オチを中盤に持ってきてどうなることやらと脱力した状態で観ていると、小気味よいツイストが挟まれて、一言で言うと「永遠に続く不安神経症的世界観」のホラー映画として見事な着地を見せてくれるところはお見事(去年公開になったとあるホラー映画にテーマが似ている)。勿論、チープだし、作りも荒いんだけど、この独特の世界観は十分注目に値する作家だと思いました。
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