Seed

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ

もしも、吸血鬼がいたら…」的なもしもストーリーを、丁寧に丁寧に想像力の及ぶ限り語っていったら、いずれ語り部の数だけ吸血鬼物語ができるだろう。ジム・ジャームッシュが語ったとしてもそれは一緒。特にすごい事が起きるわけでもない、いつものオフビートな、しかし確かに我々とは違う「怪物についての物語」が広がっていた。

これに乗じて、今まで観てこなかったジャームッシュ作品、特に初期の傑作と名高い『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を初めて観た(…恥ずかしい。今年はこういう恥ずかしいのを、一つ一つ潰していく年にするぞ)が、ジャームッシュ映画の骨子は「物語中に一度、ちっぽけではあるが、当人たちにとってはある種の重要性を持つ出来事」が起こり、「延々続くかに思われた日常に明らかな亀裂が走り」「しかし、次の日からは、また違う日常が始まる」という一連の流れにあるのだと思う。その結果として、例えば別れが待っていたり、すれ違いが待っていたり、ある種のビターな「通過儀礼」が待ち構えているわけだけれども、そこに一捻り、吸血鬼ならではの生き続けなければいけない哀しみのようなものがある。

ストーリーにも関わりのある数々のビンテージギターやオープンリールなどの録音機材が、画面にうっとりするような彩りを与えている(だから、途中の超展開では一瞬気絶しかけた)のでわかりやすいのだが、今回はいつにも増して音楽が素晴らしい。主人公はアンダーグラウンドミュージックシーンのカリスマである設定になっており、全編を覆う深いギタードローンに包まれたブルージーなアンビエントフォークが、きちんと説得力がある音になっているのが凄い。調べたらBrethren of the Free SpiritのJames Blackshowの相方、Jozef Van Wissemが制作していて、Jim Jarmuschとの共作でサントラがSacred Bonesから発表されています。

http://www.amazon.co.jp/Mystery-Heaven-Jozef-Wissem-Jarmusch/dp/B009A9ENYQ/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1390152077&sr=8-2&keywords=Jozef+Van+Wissem+%26+Jim+Jarmusch

主演のアダムを演じたトム・ヒドルストンは、アベンジャーズのロキの印象を引きずることなく、最高に妖艶な男前だった。そりゃ売れるわ。ティルダ・スウィントンは言わずもがな、相変わらずの年齢不詳な美しさで、おそらく現時点で吸血鬼に最も近い女優。イノセントガーデンのミア・ワシコウスカが、大変脳天気なトラブルメーカー役として登場し、本気で周囲をイラつかせる大活躍でした。

http://onlylovers.jp/

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