うんうんと唸りながら曲を作っているんだけど、今日ふと4曲(うち1曲はインタールード的なものなので、実質3曲)合わせて6分しかないことに気がついた。どういう計算?なんかエディットの密度が濃すぎるのだ。一生終わらないのではないか、という予感の中で創作作業を進めるのは気持ち良いので、このままやる。
BananagunのFree Energyを聴いて、EPに入れるか迷っていた曲をボツにした。この曲から、AloyseのIntentionに繋ぐプレイリストが完璧で、その道を探っている(それをナチュラルにやっているのがヒタ・リーなんだと思うんだけど)。この演奏を聴 いていても、ドラムとパーカッションに比べて、上物の演奏レベルは決して高くなく、とにかくルーズなセンスだけでこの雰囲気を出しているのが理想的だな、と思う。Geordie Greepは最高だけど、一歩足を踏み外したらアスリート的になってしまう危険を孕んでいる。
昨日はNetflixで『喪う』、今日はU-Nextで『ピンク・クラウド』を観る。どちらも、狭い住居という限定された空間で撮られた(ほぼ)密室劇。故に、同じような気だるい閉塞感が立ち込めている。
お気づきの方は少ないと思う。俺は基本的に、U-Nextのマイリストを「もうすぐ終了順」にして、終了日が決まっているものから観ていくことにしている。だからです。だから節操がないんです。ちなみに、他の配信プラットフォームにはないこの機能、すげえ重宝しています。こんなんでもないと、観るべき映画は溢れていて、どれから手をつけていいのかわからなくなる。 『哀れみの3章』ですわ。「自由であるほど、不幸になっていく」…。
ということで、今日はアンヌ・フォンテーヌ『ボヴァリー夫人とパン屋』という得体の知れないゴーモン映画を観た。いや、得体は知れているはずなのだが、なんでマイリストに突っ込んだのか全くわからない。アンヌ・フォンテーヌは、一本も観たことがない。なんで?
出版社に勤めていた主人公マルタンは、父のパン屋を継ぐために地元で暮らすフランス人。隣に引っ越してきたイギリス人が、ボヴァリー一家。あまりにシチュエーションがフローベール『ボヴァリー夫人』に似ているもんだから、元出版社勤務の血が騒ぎ、妄想を繰り広げる。
「大人のファンタジー」と銘打った官能映画という触れ込みだったので、もっと慎ましやかか、ポルノ紛いのものなのかと思っていたら、まるで中学生の妄想のようなエロ描写が続く。パンをこねるジェマ(ジェマ・アータートン)のうなじ。ワンピースのざっくりとはだけた胸元。挙げ句の果てには、「スズメバチが入ったので、背中のボタン開けて、毒を吸い出して」と来た。クラクラしました。
ただ、テーマがどこにあるか分かりづらいのと、現代フランス映画的なのっぺりとカラフルな色彩感覚にもあまり魅力を感じられず、前述の中学生エロと、ジェマ・アータートンが魅力的なのと、あんまりにもあんまりで笑ってしまうオチ、以外にはそこまで飛距離の伸びない映画ではあった。『ボヴァリー夫人』ギャグ、特に殺鼠剤に異様に反応するマルティンとか、もうちょっと面白くなりそうな要素はそこかしこに あったのだが。『ボヴァリー夫人』未読だから良くなかったのか。なんにせよ、映画を楽しむにも、もっと教養が必要なんでしょうな…。