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粗野でヤバい奴として登場したミラレスが、地元のはぐれものにも優しく、文学を愛し、母親のために食事を作る献身的な男であるということがわかってくるにつれて、この街に正しい奴などいない、ひいては、世界に一から十まで正しい者などいないのだ、ということが浮き彫りになる。これからも心から仲良くしていきたいと願っている相手に対して、愛情を注ぐ方法を間違えて、酷い言葉を投げ続ける。そんな男が、近所の婆さんにピアノを弾いてもらい、その後ろ姿をじっと見つめる姿には感じさせられるものがある。

『のら犬』を観た。Jean-Baptiste Durand監督作。男同士の友情を切り裂くのは、新しい女の登場…というナラティブ方程式の一番簡単な答えを選択したように見せかけて、新しい恋愛の邪魔者となる街の厄介者の「愛おしさ」「豊かさ」をじっくりと、炙り出すように描く手法には端的にやられてしまった。MyFFF 2024より。素晴らしかったです。

MCATM

@mcatm

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