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ウィッシュ・ドラゴン

主人公ディンとリナは貧民街に暮らしながら、龍の凧を飛ばしたりしていた幼少頃に「ずっと親友」であることを誓った幼馴染。両方とも学校生活からはみ出ているが故に分かち難い存在となった。しかし、立身出世を志したリナの父が、川向うの山の手への移住を決意。二人が会えなくなり10年の月日が流れる。街頭のビルボードにも登場するような、超立地な有名人となったリナ。彼女の誕生日パーティーに出席することを夢見るディンの前に、「神」を名乗る浮浪者風情が現れて古ぼけたティーポットを渡す。そのティーポットの中には、夢を現実とする力を持ったドラゴンが封じ込められていた。貧富の差を描いた「ロミオとジュリエット」と、ジーニーがドラゴンになった「アラジンと魔法のランプ」が合体したような物語。

ドラゴンの力でリナと再会したディンが、貧民が故に拒否されたらどうしようという羞恥心から、偽名を使ってしまう展開で、無駄にややこしい事態になってしまったことは否めない。が、そうしたストレスフルなドタバタが解消した後、「経済的に豊かだけど、心は満たされていたあの頃」を思い出してうっとりするリナが、しかし現実を直視してディンに告げる一言からが真骨頂。ディストピアに見えるけど、これ、現実なのよね。

ひょんなことでカンフーマスターになってしまうディンをはじめ、頑なに手をポケットに突っ込んだまま戦い続けるスキンヘッドヤクザ(中国映画で出くわすああいうルックスのやつが一番怖い)、そのかわいい子分たちとか、キャラクターがしっかり面白い。メインストーリーもドラゴンの逸話も、ベースがどこにでもある平凡な話な分、しっかりとサプライズ要素練られてて楽しめた一作。プロデューサーに、ジャッキー・チェンが入っています。

MCATM

@mcatm

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