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06Jan2026
  • 『令和ロマンの娯楽がたり』を観たが、いまいちピンと来ず。お笑い業界の演者たちが、自分たちのことを自分たちで語り、外部からの声はかなり権威主義的にシャットアウトするやり口に対してぼんやりと感じていた不信感が、一年を通して決定的になってしまったのがデカそう。

    加えて「みんなで正解を議論しよう」という建付けで求められている「俯瞰」と「客観視」の白々しさが、画面中の擬似的な熱狂と乖離して、浮き彫りになってしまっているように見える。生成AIが幅を利かせ始めたこの時代に、「正解」になんの意味があるのか。時流とか、ビジネスよりも、主観の大間違いに価値があるという、いつもの話。

  • 李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』

    「排外主義者たちの夢は叶った」という書き出しがあまりに鮮烈なのだが、その切れ味が以降のページでも一向に収まらない。この「憤り」の物語は、複雑な双方向の刃で周囲に切り掛かり、その様が如何にもSNS以降の「現代」という空気を感じさせる。

    「極右の女性政治家」が総理大臣となり、排外主義が幅を効かせた結果、在日韓国人の人権が脅かされていく。2020年の作品とは思えないほど、現代日本を言い当ててしまっていることに怖気を感じるが、現実同様、外も内もザリザリにささくれ立っていく中、韓国への集団帰国を企てる「青年団」の元リーダー朴梨花の言葉がよかった。彼女は、政治活動を創作活動の一つの発露として捉えている。

    でも私は気づいたの。直接の読者を持たないような、私のなかだけで閉じているように思われる自称『創作活動』がそれでも、この世界の扉をノックしてた、この世界にじかに触れてた、世界に参加してた、って。そうじゃなかったらどうして、(中略)後世に作品を残せなかった名もなき作り手たちの声が、私たちの礎となったと言えるか。この世界を動かす。私たちの住むこの大きな球体をなんとか動かす。その指の引っかかりとなる。

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05Jan2026
  • フリーダ・マクファデン『ハウスメイド』

    「登場人物一覧」に記載されている人数を無視できるミステリー好きはいない(断言)。ここに記載されている中に真犯人は含まれる(含まれていない場合、激しい非難の対象となる)ため、数が多ければ複雑で読み甲斐があり、少ないと単純で退屈、と予想可能だし、その予想は大抵当たる。だからフリーダ・マクファデン『ハウスメイド』の登場人物一覧に記載された人物が「5人」というのは大変危険な信号。しかし、ここまで少ないのは未だかつて見たことがない。であれば、むしろ挑発的、とも感じられた。

    結論、大いに挑発的だった。主人公の家政婦ミリー、勤め先の富豪アンディ夫妻に、娘と庭師。完読すれば、ここに追加できる人物がもう何人かいることに気づく(近隣の住人や、アンディの両親など)が、むしろこの5人であることが重要。ミスリーディングもテーマのブレも避け、不気味な家に住み込みで勤めることになったミリーの不安にフォーカス出来る、ベストな登場人物一覧である。

    中身はすごい。近年の端正な構造を持ったミステリーの数々に比べると荒削りではあるが、ショートショートの連続のようなスピードで不穏な小話が挿入されて、すべてをすっ飛ばしてオチを聞かせて欲しい気持ちでたまらなくなる。その衝動が燃料となり、ページを繰る指が止まらない。そんなタイプのスリラー。

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    映画向きだなー、もっと言うと端から映画化を目論んで執筆されたような作品だなと思っていたら、2025年の12月、既に公開されているとのことで。

    ミリー役シドニー・スウィーニーかーーーー。ケイリー・スピーニーで想像していたんで調子狂ったなー、とか思いました。

02Jan2026
01Jan2026
  • 謹賀新年。と言っても、何の節目にもなっていないので、そこまで前のめりになっているわけでもなく、引き続き淡々とやることやるぞ、と。昨年出そうと思った音源はちょい遅れて、ようやく歌詞が7割終わったぐらいで詰め作業中。全部が終わるのは3月ぐらいになりそうなので、そこまでは一続き感が拭えないのだろうなと思う。

    時宜にそぐわぬと承知の上で年始からこんなこと言うのだが、一年一年死が近づいている。やれることは少なくなってくるから、やるべきことを優先的に取り組むしかない。

25Dec2025
  • ここ二週間の薄皮を重ねていくような丁寧な描写の果てに迎えた今日の『ばけばけ』。直接的な一言はついぞ吐かれることないまま、ある想いの成就は完璧に納得させられる。それを支える、演技、カメラ、音。そしてオープニングクレジットにはいつもの写真はなく、逆光に佇む二人の姿が重なっていく。エンドロールかと思ってしまいました。

22Dec2025
  • M-1グランプリ2025。2008年の敗者復活、その頃は中継もなく、今も続けている「M-1の日は大掃除をする」という習慣に従って、大井競馬場の様子をタイムラインで伺いながら歓喜したオードリー以来の、「推しのコンビが敗者復活から決勝進出」という至福を味わった。あんまり冷静ではなかったかも。

    翻って、本戦。今年は本当に、過程が良かったですね。そういう意味では、2019年(ミルクボーイ)、2021年(錦鯉)に匹敵するものがあった。下馬評は、真空ジェシカ、エバース、ヤーレンズ。三組とも爆発したが、その中でも最も火力の高かったエバースが抜けて、後は初進出組というバランス。M-1は、熟練の技術を楽しむ場であるのと同時に、新味も非常に重要であることは御存知の通り。そういう意味では、「売れてない中堅〜ベテラン」の有利が味方する。正直、ドンデコルテの成長と爆発には仰天してしまったが、それ以上に爆発したたくろうの優勝は納得しかない。これに関しては駒場さんの審査コメントが非常に的確だったことに感心している。挙動不審の人間を笑うネタに見えるのだが、人の話も聞かず狂っているのは完全にきむらバンド。狂人に踊らされた赤木は、ボケとツッコミの両方をやらされる羽目になってしまう。妻はもう数年来のたくろうファンなので、結果に泣いてた。

    カナメストーンは、二人の良さが伝わる形で決勝に出られて本当に良かった。もちろん、最高の結果とは言えないかもしれないけど、十分な結果。売れた。また好きなコンビが売れてしまった。今は寂しさよりも嬉しさが勝っている。相席食堂が楽しみ。いつもカナメちゃん村で泣き出す零士をやさしく受け止めてるヤーチーが、場面場面で今にも落涙するかのように感極まっている珍しい光景を観て、しみじみしてしまったな。

15Dec2025
  • 今朝の『ばけばけ』、しじみさんとヘブン先生の部屋が画面中央で分けられ、暗い部屋から明るい部屋に足を踏み出す瞬間、使われる人間の領域から対等な関係になることを示唆している。すごくわかりやすいが、光を効果的に使った演出に感じ入った。いよいよ怪談を話す、という段になって、やおら立ち上がったトキは、簾を下ろして、屋内は一律に暗くなり、蝋燭の細い灯りの前に、どこか艶めいた顔を見せるのでした。

10Dec2025
  • Arrrepentimientoの新作制作進捗。構築→破壊→構築→破壊のプロセスと、デッドラインの概念に、根本的な齟齬がある。何度もデッドラインから遠ざかりながら、それでも少しずつ前には進んでいるはずなんだけど、「破壊」の最中はそれが際限なく遠ざかっているように見えるので、かなりしんどい。しかしながら、混沌としていないものには魅力を感じないので、どうしても破壊に傾倒しがちである。

    ということで、これから再度構築の段階に入っていくことにする。これって、パスタソースを作るときに、何度も茹で汁を足していく工程に似てる。

09Dec2025
  • Sister Irene O'Connor - Fire of God's Love

    https://music.apple.com/jp/album/fire-of-gods-love/1825915538

    「クリスチャンロックとか超くだらねえ」って言ってたのって誰の何の作品だっけ?と思ってたら思い出した、ワシントン・ポーだ。俺も概ね同意してたんだけど、よく考えたらそんなことねえわ。このSister Irene O'Connorもその好例で、リアル修道女である彼女が、聖書の教えをベースに歌うフォークソングなのだが、なんともトンチキな電子音が飛び出したり、とにかく様子がかなりおかしい。と言っても決して出オチものではなく、オブスキュアだがしっかりと構築されたトラックと演奏で、正直相当レベル高い。

08Dec2025
  • https://natalie.mu/music/news/651338

    言葉もないとはこのこと。恢復をお祈りしたいが、それも難しいということなのかな…。新作はなんとなくウォーミングアップ的な雰囲気を感じていたので、本格再始動を楽しみにしていたのだが、どういう形になるのか気になってる。

04Dec2025