ダニエル・ゴールドハーバー『HOW TO BLOW UP』
環境テロリストによる石油パイプラインの爆破計画。細かく練り上げられた計画に従って行動する若者たちが、「どのようにしてパイプラインを破壊して、プロテストを成し遂げるのか」を描いた物語。不明の男女がテキサスの田舎に放棄された建物に集まり、自己紹介もそこそこに爆弾を製作し、石油パイプラインの建設地に運び、アリバイを作りながらそれを爆破させる。計画の進行を見守りながら、彼らがこんな犯罪計画を成し遂げる背景が時折挟み込まれるが、それは単なる背景説明に留まらず、この計画の成り立ちと顛末を細かく説明してくれる。
犯罪と正義の危ういバランス。確かにこの物語は我々に「考えることを強いる」のだが、その一方で明らかにこの計画と実行の一部始終に興奮させられてる自分がいることは否定できず、そういう意味ではかなり「不謹慎」な映画。ケリー・ライカート『ナイトスリーパーズ』に酷似しているが、描きたいことがほぼ真逆だと思う。この世を支える虚構の倫理に、ささやかだが有効な一撃が加えられている。
監督はあれだ、『カムガール』(未見)のダニエル・ゴールドハーバー。ソチ(すっごい見たことないスペル)役のアリエラ・ベアラーが、脚本やプロデュースまで参加しているんですね。このコラボレーションが続くのであれば、凄まじいチームが出てきたなーという印象です。
最近、十九人の動画を追っている関係で、ニューヨークチャンネル観てたら、やっぱニューヨークすごいんじゃないかと思い始めた。
前にカナメちゃん村にゲストとして来た時にも思ったんだけど、屋敷はゲストを通して自分の話をしたりとか、そういう種類の邪念が感じられず、本当に目の前の人に興味を持っているのが伝わってくる。その辺が良いんだろうなー。結果として、ゲストで来た人たちがみんな魅力的に見える。
観た中だと、このスパイクの回(松浦さんでもう一度大ハネする予感した)とか、植田が一人陸で溺れそうになっているオダウエダの回、凄まじい努力家の一面が興味深いみなみかわの回が好きでした。
嶋佐はいつもかわいいです。
Remixで出来てる当サイト。Remix v3は、React Routerに統合されるらしいですな。最近、仕事でもRemixに少し触ってたら、v2.15.0でフューチャーフラグがいくつか立ってたもんだから気になって調べてみたんす。基本、Remixというのは、React Routerの便利なラッパーであり、同時にVite Pluginであるので、今後混乱がないよう、開発をReact Routerに一本化するとのこと。なので、移行作業をトライしてみた。
つくづく思うんだけ ど、こういうのワクワク面白がってトライしたくなっちゃう人じゃないと、エンジニアって向いてないかもしれないですね。
『あるいは、ユートピア』
夜はPrime Videoで『あるいは、ユートピア』を鑑賞。またしてもロメロ的な弛緩した時間。謎の生物によって危機的状態にある世界で、ホテルに籠城して投げやりに生を全うしようとする人々。自家発電も、浄水施設もあり、災害用備蓄も潤沢なホテルなので、大きな切迫感はないまま、都合、問題は毎日顔を合わさざるを得ない人々の人間関係に絞られてくる。
この問題が発生することを見越して、著名な小説家である牧(藤原季節)が、三つの原則「非暴力」「非干渉」「相互扶助」を掲げると、その方針に不満を持つ松岡(渋川清彦)の脊髄反射的な猛反発に遭う。不気味なウェットさで、「家族」の大切さを解くこの男の得体の知れなさ。この三つの原則は彼らの小さな世界を護り、同時に彼らをこの世界に縛り付けることとなる。薄らとした距離を作り出すこの透明な壁に、この狭い世界が正当化されていく。
物語もよく書けているし、役者も手練だらけ(特 に、完全に浮世離れした無害と有害の境界線上にある男を演じた渋川清彦と、女装癖のある自殺志願者という難役が難役とも思えないほどいつも通りキャラの立った吉岡睦雄)なので、興味が持続したが、登場人物の服装の綺麗さや、姿を見せない大型生物の描写などに課題もあると感じた。
2年にわたる籠城は、かくして一発触発の安寧の中にある。この世界が、果たして「ユートピア」と言えるのか。その答えまでの道のりを探る映画でもある。
人類にもSNSにも何の期待もしていないのだが、mixi2体験してみた。結局、コミュニティ機能は良かったよなー。そこにきちんと注力し続けてくれるなら、少しは体験する価値あるかも。
https://mixi.social/invitations/@mcatm/GX2yaBe9cD1bKdKTQKUfom
デッド・オア・リベンジ
「ここには地雷も埋まってるらしいぞ!」みたいなノリでトレッキングにやってきた婚約中のカップルとその親友。最近知り合ったと言う地元のやつが写真撮ってくれるっていうんで、三人でポーズ付けてたら踏み抜く地雷。心底胸糞悪い2015年のジョージア映画。『ファニーゲーム』2回観た気分になった。この三人の関係がちょい訳ありで、復讐復讐って言うもんだからその辺の色恋かねって思ってたら、全然関係ねえ醜男がやってきてネチネチと嫌がらせを続ける。まるで共犯者のような振る舞いを続ける犬含めて、ここまで登場人物でまともなやつは存在しない。
復讐だかなんだか知らねえけど、この極度な加虐が続く中で大事なのは、痛めつけられてるのが常に女性というところ。ジョージア映画ということもあって、アメリカ人とロシア人、諍いの中で悲惨な経験をしているのは常に弱い立場の人たち、という見方もできるかも。
ホント極端に極悪な映画なので、自己責任で見てほしいけど、セクスプロイテーションとは一味違った奥行きのある作品。それが、ラストの表情に現れています。まるで『卒業』みたい。マジでこれからどうすんだろ?
昨日は家で『・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・』を観てから、友人宅へ。『パスト・ライブス』を流しながら、この作品がすげえ嫌いな人と、割と好きな人と、全然興味ない人がわいわいやりながらたこ焼きを食べる会にむすこを連れて参加。嫌いな人はすごい勢いで悪口を言い、俺を含む割と好きな人はにこにことそれを眺め、興味ない人はたこ焼きを焼いた。俺は二度目の視聴で、より好きになったかも。確実に言えるのは、この作品について一番熱量があったのは「すげえ嫌いな人」で、それって作品を心底楽しんでるってことだよなー、と。良い会だった。帰りがけに『ヘレディタリー』を流して、むすこにトラウマを植え付ける。徒歩で帰宅。
今日も友達が来て、今年のげんき映画総括をするつもりだったが、一人体調不良で他はみんな昨日も集まったメンツだったのでリスケに。下高井戸シネマにアレクサンダー・ペイン『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』を観にいく。
今年のベスト候補に挙げる人もたくさんいたので、途中までは「うーーん、ベスト、というほどでもないなあ…」という気持ちで観ていたのだが、2時間超、重めの有効打が続くような雰囲気で最後にはノックアウト。まさにポール・ジアマッティ映画ではあるのだが、他のキャストも総じて良い。名作『いまを生きる』の系譜にある教育映画にして、コメディでシュガーコーティングしてあるので、その背後にあるとてつもない重さに気が付かない。いつの間にか、主要キャスト三人の境遇に深く心を寄せてしまっている。おかげで何の変哲もない「チェリー・ジュビリー」のエピソードで、三人が駐車場にある車のボンネットでアイスを燃やすシーンに、何故か涙してしまい、それが何故だったのかを考えている。
うんうんと唸りながら曲を作っているんだけど、今日ふと4曲(うち1曲はインタールード的なものなので、実質3曲)合わせて6分しかないことに気がついた。どういう計算?なんかエディットの密度が濃すぎるのだ。一生終わらないのではないか、という予感の中で創作作業を進めるのは気持ち良いので、このままやる。
BananagunのFree Energyを聴いて、EPに入れるか迷っていた曲をボツにした。この曲から、AloyseのIntentionに繋ぐプレイリストが完璧で、その道を探っている(それをナチュラルにやっているのがヒタ・リーなんだと思うんだけど)。この演奏を聴いていても、ドラムとパーカッションに比べて、上物の演奏レベルは決して高くなく、とにかくルーズなセンスだけでこの雰囲気を出しているのが理想的だな、と思う。Geordie Greepは最高だけど、一歩足を踏み外したらアスリート的になってしまう危険を孕んでいる。
昨日はNetflixで『喪う』、今日はU-Nextで『ピンク・クラウド』を観る。どちらも、狭い住居という限定された空間で撮られた(ほぼ)密室劇。故に、同じような気だる い閉塞感が立ち込めている。
ジョー・スワンバーグ&グレタ・ガーウィグ『ナイツ&ウィークエンズ』
マンブルコアとか映画館で観てると、どれだけちんちんやおっぱいが出てこようと「これを、ポルノとは、呼ぶまい」と固く誓う観客同士の無言の連帯を感じることが出来る。というのは半分冗談ながら、しかし物語における「セックス」の持つ意味があまりに大きいという自覚も、その連帯の礎となっているであろう。
元々本作は済東鉄腸さんのブログ記事で知り(基本、マンブルコアについては、このブログを一通り読んでおけば良い)、今年のグレタ・ガーウィグプチ映画祭でようやく観ることが出来た(他は全部観てた)。引用元のインタビュー記事なども追うと、スワンバーグとグレタ・ガーウィグの共同作業は、結果的に心底酷い状況に陥ったのは確かなのだろう。「幸せなカップルの映画」という構想は前半で挫折し、大喧嘩の末3ヶ月も口を利かず、再始動したのは一年後。そこから実際の時間経過同様、劇中の一年後にあたる後半を撮影したという。おそらくその結果、顕になった現場や人間関係の破綻が、劇中の二人の越えられない心理的な隔たりとしてフィルムに焼き付いているはず。維持できなかった遠距離恋愛が壊れ(維持できなかった共同作業が壊れ)、二人の社会的な立場などにも差が出来ていて、そんな現実をどのように処理して良いのかわからないから、一人さめざめと涙を流すグレタ・ガーウィグには、もうセックスしか残されていない。
『ハンナだけど、生きていく!』で、あれほど肉感的で奇跡のように美しい濡れ場を観ている我々は、ホテルの独り身には少し大きいが、二人だとちょっと狭いベッドを取り囲んだあまりに切ない時間を、「セックス」という魔法が解決することを望んでいる。鏡の前でドタバタと思い悩み、ブラ一枚?肩紐垂らす?両方の?寄せる?いっそ片乳だす?みたいに逡巡する時間は、コミカルである一方、ここから始まる凄まじい戦いの前触れであることは火を見るよりも明らか。しかし、「それ」は起こらない。そして、この映画は「それ」が起こらないことを描いていたのだった。
Aloyse - Intention
アムステルダムのSSW、AloyseことBernice Aloyse Pistersによる2024年のシングル。結局、ずっとこの手の女性SSWにばかり引っかかってし まう、この儚げなボーカリゼーション。曲の展開はどこか80'sっぽい雰囲気もあって、繰り返し聴いてる。
「ずっと応援してました!」と言うには、あまりにネタの精度低くてテンション落ちてた時期もあったし、いつもながら「良いファン」とは言い難いんですけど、基本すごく好きなコンビなので嬉しかったです。にぼしいわし、The W優勝。俺はずっといわしさんにベース弾いてもらいたいと思ってたんですけど、流石にもう無理そう!めでたいことです。
一本目、全体的に低調で、にぼしいわしの「なんきんの天ぷら」、忠犬立ハチ高の「いつ潤?」ぐらいしか会場が爆発しなかった印象。なんだけど、なんだかんだで決戦三組はみな完成度高かった。にぼしいわしが漫才二本で攻めたのも痺れたけど、忠犬立ハチ高が二本目漫才だったのも同じぐらいグッときた。格好良い。にしても、忠犬立ハチ高は、完全にジャイアントキリングの可能性を匂わせながら、主人公のオーラをまとってた。一気に売れると思いました。
Bananagun - Free Energy
めちゃくちゃ格好よいよなー、Bananagunのアルバム。その中でも好きな曲を繰り返し聴いていたら、やっぱシングルカットされてた。こういうの嬉しい。7インチ欲しい。
この曲なんかは、ブラジリアンファンクのテイストで、ものすごくミニマルなんだけど、常軌を逸した構成で意図的な停滞をもたらしているのが大変チャーミングである。それ以前に、2コードぐらいの曲に乗るメロディとしてはかなり有機的で聞き飽きない。ワンコードで押し切る展開として、かなり参考になるアレンジだなーと思った。
吉祥寺から帰ってきて、『ドキュメンタリー オブ ベイビーわるきゅーれ』を観た後、下高井戸で湯浴み。ゆっくり風呂に浸かった後、ファミレスこと鳥貴族で食事をするというダメな贅沢に身を窶した。
井の頭公園で池を眺めながら、最近調べていたことを妻と話し合う。二ヶ月分ぐらい猛烈に話す妻はとても早口。良い日曜日だ。
妻が家にいて、確たる用事もない、という貴重な日なので、なんかしようぜーと言って、笹塚にメキシコ料理食べに行った。猛烈に喋りながら食べてたら普通に満足しちゃって、家に帰って『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』を再見。初見の妻が、ハンカチの仕組みに一発で気づいていて、やっぱ批評の思考って観る本数じゃないなと改めて実感した。
ドラクエ3でやまたのおろち倒してから、チョン・ユミ主演の『スリープ』観る。闘病かオカルトか、の心づもりで観ていたら、家庭用プロジェクター導入しての大プレゼン大会が始まって、爆笑した。素晴らしい飛躍!