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昼食にカルボナーラを作ってから、「勉強」と称してむすこと『イコライザー』を観る(二度目。ロバート・マッコールは登場時から最高である)。夜は、昨日途中まで観ていた『クラム』と、『村人』というオーストリア映画を観てから、日活の『何もかも狂ってやがる』を観る。明らかに映画見過ぎで、自分でも良くないと思う。流石に暇って思われる(ガクテンソクも言ってた)。でも、なんとかやりくりしてこれなので許して欲しい。


伝説的漫画家ロバート・クラムを取り上げたドキュメンタリー『クラム』。すごかったな。ちょっと凄すぎた。まずもう、とにかく絵が上手い。信じられないほど。だから、ロバート・クラムという漫画作家の実力と、人気の理由はとてもよくわかる。圧倒的な才能、というのがこの物語の前提となる。

その上で、主に前半で語られるのは、クラムの女性に対するオブセッション。わかりやすく作品に反映された女性嫌悪や強烈な性衝動が、擁護/批判両方の立場から語られる。その時点で立派な取れ高というか、この作家を語るのに十分に豊かな物語を感じていた。

ところが、親兄弟が物語の中心を占める後半で、真にその作家性が浮き彫りになる。自分よりも絵が上手くハンサムだった兄・チャールズは、現在、精神薬を服用しながら母と一緒に実家に引き篭もる人生。弟マキシムは、シュールレアリステックで現実味に欠けた絵画を描きながら、ロバートをも凌駕するぐらいの性衝動を持て余し、釘の上に座して3日かけて紐を飲み込む生活を送っている。進む道が一歩でもずれていたら、このうちの誰になっていてもおかしくなかった人生。その薄氷のごとき性質に恐ろしくなった。監督は『ゴーストワールド』のテリー・ツワイゴフ


U-Nextでの配信期限が迫っているというだけの理由で観た、バーバラ・イーダー監督作『村人』(なんてタイトルだ)も、思わぬ掘り出しもの。疎遠だった父の残した不動産を処理するために訪れた故郷の村で、サーカスでの傷害致死事件を目撃する主人公。いわゆる「村もの」だが、その成り立ちは少し重層的で、流石に食傷気味な「カルト宗教が…」みたいなノリとは異なる目線を持った映画だなとちょっと感心。サスペンスとしてもなかなかの出来だし、もやもやの残し方も絶妙だと思う。行動一つ一つが上滑りしているようなところ(例えば、主人公が近所のカフェに通い続ける理由が若干わかりづらかったり、とか、物語に流れている論理と実際の行動に乖離があるように見える箇所が何ヶ所か)もあって、そこをもう少し上手くやってくれればもっと良かったと思うけど、観て損はなかったです。

MCATM

@mcatm

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