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夜に入塾手続きがあったので、朝は『夜明けのすべて』『落下の解剖学』を観に新宿へ。三宅唱監督『夜明けのすべて』は、光石研、渋川清彦、内田慈と、序盤から手練れの役者が続々登場するので、上白石萌音に、SixTonesの人(松村北斗)が主演で大丈夫か…受け止めきれるか…?と思ってたら、全然杞憂。めちゃくちゃ良かった。松村北斗って、役者として大成しそう…。ラスト周辺で、ブワーッと涙が出てきたんだが、全く理由がわからなくて、強いて言うなら積み上げ?一見意味もなさそうなシーンも含めて、キャラクターを魅力的に描き上げるためのディティールの積み上げが丁寧で、逆に言うとそれしかない、それだけで面白くしてしまったという、パワフルな一本だったと思う。もうちょいしっかり書きたい。

一方、ジュスティーヌ・トリエ『落下の解剖学』は、面白かったものの、パルム・ドールとしては例年より格段に出来が落ちた印象。丁寧に練られた脚本に対して、撮影があまりに良くない。フラフラと主体性のないショットの連続で、構図も9割キマってないし、ステディカムを使った演出も不発(ズームだけはおもろかった)。映画って視覚の芸術でもあるので、そこは大いにマイナス点ではあった。落下死した夫の殺害容疑をかけられた主人公。フーダニット法廷劇の体裁を採りながら、実際は、主観的なものの見方の危険性についての啓発に近いテーマを持った映画だった。「真実はどうでもいい。どっちが面白いか」と言いのけたコメンテーターのセリフが、いささかわかり易すぎるぐらい端的にそのテーマを言い表していた。シーソーのように揺れ動く印象の中で、ずーっと傷つき続けていたのは誰だったのか。

無事入塾も決まり、良い塾に巡り合ったおかげで気分も良くなって、たらふくもんじゃを食べた後に、ゆっくりと散歩して帰ってきて、今飲酒中。良い一日だった。

MCATM

@mcatm

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