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むすこの塾で吉祥寺に行くついでに、武蔵野文庫でお茶してから、ジュンク堂で何冊か本を購入。同人誌として出ていた時に喉から手が出るほど欲しかった『クトゥルフ神話生物解剖図鑑』。むすこに話したら即答で「読みたい」とのことだったので、かこつけて購入したり、『三体』の続き買ったり。


書籍版『フェイクドキュメンタリーQ』を読了。妻子が田舎に行っている時に一つ二つ読んだ時点で、あまりの怖さに「二人が帰ってくるのを待とう…」となってしまった。元々動画は全部視聴済みなのに、文章で改めて接すると、想像力が爆発してしまって下手なホラー映画とかより全然怖い。黒沢清監督の新作なども含め「得体の知れない恐怖を描いたホラー」の時代が本格的に到来していて、それはまだまだ国外には浸透しておらず、日本のそれが一番先鋭的であるというのは意識しておきたい(もちろん、韓国・台湾・タイなどに一部呼応している作品はある)。

あくまで映像ありきの書籍版『Q』の主要な価値は、各エピソードに追加されているその後の追加情報にある。映像作品の文章化としてよくある作りではあるんだけど、『Q』のそれは、各人の解釈深読みを加速させるような情報になっている。そのせいで、事態は混沌と重層的なものになり、この悪夢的な世界がより立体的に迫ってくると同時に、解像度はより下がって不鮮明になってしまう。「低解像度=何があるかわからない」「世界が立体的=すぐそばの現実と地続き」という分解を以て、俺の感じた恐怖を理解してもらえただろうか。手を伸ばすと不鮮明な悪夢に触れてしまいそうな不安と恐怖

追加エピソード『MOTHER』も秀逸。映像では語られない部分を読んでいくと、そもそも我々が興じているこの「深読み遊び」すら、反転して牙を剥いてくるという邪な仕掛けがあって心底厭な気分になった。(この言い方も古いが)現代のメディアミックスコンテンツとしてかなりの強度を持った作品だと思います。


夜は、リーアム兄さんの『バッド・デイ・ドライブ』。原作は何度かリメイクされている『暴走車 ランナウェイ・カー』(いくらなんでも擦りすぎだろ)。制作に『アンノウン』『フライト・ゲーム』などの傑作で兄さんと組んでいたジャウム・コレット=セラが入っているので、そういうテイスト。要は現代版ヒッチコックで、『フォーン・ブース』とかの系譜のサスペンス映画っす。

やっぱこういうのは出だしのパニック描写が肝で、この「状況が整理できていない状況」がどれだけ現実から逸脱しているかで映画全体の最大飛距離が決まってしまう、というところがある。そういう意味で、この映画はなかなかのもん。愛車の座席の下に爆弾が仕掛けられていて、一度座ったが最後、席を外すと爆発してしまうという最悪シチュエーション。更には遠隔操作もできるので、後部座席に座った子どもたちが下車するなど、気に食わねえ行動があった場合は容赦無く爆発させます、とのこと。最悪っすね。観てる俺も正座。

正直、決定的な減速もなく、緊張感が持続したまま、最悪の状況が続きます。まるでわたしたちの哀れなジャック・バウアー状態。ただあまりに疾走し過ぎて、終わった後、心に残ったものもめちゃ少なかった。「あー緊張した!」っていう話です。楽しかったけど!

MCATM

@mcatm

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