Post

台風一過。一日中、地味な作業をこなし、疲れ切った身体でリーアム兄さん祭りだな、これは。『96時間』。再生してすぐに、「兄さん、最高。大好きですよ」とか言っておきながら、今までこれを観ていなかった自分を恥じましたね。最高。

旅行先のパリで娘のキムが誘拐されるまでのたった23分間で、主要登場人物たちのバックグラウンドが語り尽くされる手際の良さ。別れた妻と娘の存在、危険な任務に就いて家族を顧みなかった過去、娘を溺愛するが故に仕事を捨てたこと、元妻の再婚相手との経済格差、歌手を夢見ている娘、頼れる仲間の存在、過保護さ、今でもめちゃ強いこと…。

いざ事が起こると、自らの培った職能をフルで活かし、携帯電話を用いて遠隔で愛娘にガイダンスするリーアム父さん。現場の状況を推測して隣室のベッドの下に身を隠すようアドバイスする父さんは、「冷静によく聞け」と前置きしてから衝撃の一言を告げる。この切れ味(言い方とか、逸脱感とか含め)こそ、俺がアクション映画に求めるもので、これがあると「頑張って人を殺しまくる」という異常行動に一本筋が通る気がする(マッコールさんはこれがめちゃくちゃ上手いし、ジョン・ウィックは無言でこれをやってのける)。この一言が原題『TAKEN』の由来となっていて、これは珍しく個人的には邦題の方が良いと思っているのだが、それはさておき、この異様な言動を以て、96時間の戦いの火蓋が切って落とされるわけ。

突然出てくるパリ警察の旧友や、「96時間」のタイムリミットがもっと有効に活かされると良かったなーとは思いつつ、序盤の行動倫理が物語全体の推進力として見事に機能している、という傑作だった。思わずむすこを呼び寄せて一緒に観たんですが、俺も「むすこがこんな目にあったらこんぐらいのことはするぜ」と言うも、序盤のビルを壁伝いで移動するシーンでおとうさんなら「肉んっ!」ってなって落下死するね、と言われて、がははははって笑った。

MCATM

@mcatm

もっと読む