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今日の『虎に翼』は、法廷劇。あそこで女子部の劇を腐している男たち。後年気がついて猛烈に恥ずかしくなるとか、一生気がつかないまま死んでいく、そんな存在にはならないように、とむすこに伝える。あんなに攻撃的なよねさんのことが、徐々に好きになっていて、おそらく次の週では完璧に好きになっているであろうと思う。桜井ユキさんが、真正面から「憧れの美女」を演じているのを、個人的には初めて観たかもしれない。こういうのも新鮮で良い。ピラミッド水野的な、全ての推理を外すお兄ちゃんの良さもわかってきた。


配信終了祭、一部見逃しがあったので、今日はオーランド・ブルーム主演『復讐の十字架』。Filmarksで観ても恐ろしく評価が低かったので驚く。そのせいでちょっと点数上がってるかもしれないけど、いやいや、かなりの傑作だと思いました。完全無音の冒頭から、扇動的なスピーチに合わせて、ゴツンゴツンと槌を振り下ろす激しい音。主人公のマルキー(オーランド・ブルーム)は、古い教会の取り壊し作業に従事している。序盤から、彼の様子のおかしさが激しい「怒り」に起因することが暗示されている。主の住まいを激しく打擲し、その拳をバックに炎が激しく燃え上がる。恋人との情事も、愛を確かめ合うというよりは、怒り任せに肉体を叩きつけているような暴力的な仕草に見え、二人の関係には確かな拠り所が存在しないような所在なさが付き纏っている。

彼のこの「怒り」は何に向けられているのだろうか。30年ぶりにこの街に戻り、新しい教会に赴任する司祭・ジミーの存在が、彼を苛立たせていることがわかる。柄に名前を彫ったハンマーを振り下ろさんと、彼の教会へ赴くマルキー。「永遠に続くのは、愛や信仰、希望なのです」と説教するジミーの後ろには、キラキラと輝く金の十字架。対照的に「怒りや絶望」から永遠に逃れられずに生きるマルキーが、古い教会のレンガ壁から降ろすキリストの磔刑像とはまるで見違えるよう。

おそろしく古びた十字架を、別の神父に引き渡すために引きずるマルキーは、当然キリストが投影されている。この粗暴で、怒りっぽく、人に心を開くことない男の、どこにキリストを見出せば良いのか。キリストの暗示は他の箇所でもより明確に(より不穏当な形で)提示されるし、そんな投影が行われる理由も丁寧に語られる。この物語の原題は『Romans』。複数回引用される「ローマ人への手紙」の一節において、またしても「炎」が燃えさかるのであった。

もしあなたの敵が飢えるなら、彼に食わせ、かわくなら、彼に飲ませなさい。そうすることによって、あなたは彼の頭に燃えさかる炭火を積むことになるのである

MCATM

@mcatm

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