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家に籠もってNetflix『忍びの家』を3話見進めてしまう。Netflix制作の日本のドラマの中でもトップクラスに面白いのではないか。忍者版『インクレディブル・ファミリー』とも言えるし、そこにかなり濃厚なポリティカルサスペンス要素をぶち込んできているところがたまらない。ワールドワイドでのセールスも見込めそうなのは、エキゾチックな要素もあるし、日本人俳優の質が上がったからというのもあるんじゃないかと思う。残り1話。


ダニエル・デイ・ルイスが意外と苦手なのかもしれない、と認識したポール・トーマス・アンダーソン『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。冒頭の過酷で静かな孤独の時間が、喧騒という喧騒を経て、再び静かな孤独に回帰していく物語。素手での掘削作業で間の抜けた大失敗をしでかし、足を骨折したまま鉱石を換金していたところから、ノウハウとハッタリで大富豪にのし上がっていく。しかし、当人は儲けた金で幸せになるどころか、いつまで経っても喜びが得られた様子もなく、息子が事故で聴覚を失った辺りから、周囲の人々とのコミュニケーションにも失調をきたすようになっていく。いかにもPTA作品らしい、ヤマもオチもなく不定形のナラティブが2時間半、ずっしりと横たわっている様子。どこかチャップリンのようなオールドスクールなコメディ映画を感じさせる演出も飛び出すが、運命は一向に前進せず、撮影も音楽もどんよりと、まるで黒くて重い原油を被ったかのような面持ちで、そのコミカルさを塗りつぶしてしまう。

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