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AbemaでやってるDEV LARGEのドキュメンタリー、D.L.がああいう感じの人であるということはもうなんとなく解っていたんですが、母親の登場が最高に上がったなあ。人物像がグッと立体的になった。

何日かに分けて昼食時に妻と観ていた『花様年華』。映画としての重厚さ、品格が違うな、という印象を改めて強くした。ウォン・カーウァイの最高傑作に、一番脂の乗っている時期のトニー・レオン、マギー・チャンが出演しているわけだから、これ以上のものがあるわけはないよな、と。

U-Nextで視聴したA24配給作品『ゴッズ・クリーチャー』が傑作。『The Fits』(未見)のSaela DavisAnna Rose Holmerによる漁村サスペンスで、去年観た『ベイト(餌)』もちょっと思い出した。息子ブライアンが突然帰郷して、目を丸くして驚き喜ぶアイリーン。彼が呆けてしまった祖父を継いで牡蠣漁を再開するというので喜びの極致にあるあまり、牡蠣養殖用の種苗を勤め先の魚肉加工工場から盗み出してきたりする(初期投資にかけるお金もないしね)。ところが、少しずつ芽をふいた彼の不遜さが、ついに決定的な事件に発展すると、息子を庇うために嘘をついてしまうアイリーン。その嘘が多くの人たちを傷つけてしまう。息子がやってくる前は、仲良くやっていた平穏な村が。

アイリーンの態度が村にもたらした亀裂は二度と元に戻らないのだが、しかしそれは彼女の態度や息子の行為が村を破壊したのではなく、元々あって隠匿されていた亀裂を明らかにしただけなのであろう。それは、村に吹く「風」、鳴り響く「音」として表現され、その土地に居座る限り逃れることが出来ないのだろう。

MCATM

@mcatm

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