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帰省中、同窓会的なものがある妻とむすこを置いて一人で帰ってきたので、憧れの行為に手を染める。居間に布団を敷いて、タル・ベーラ『サタンタンゴ』を流しっぱなしで寝たのだ。8時間弱。妻の指摘通り、起きてもまだ流れていたので、ラスト辺りだけ再視聴する。

現時点で、人生ベスト映画の2位に『サタンタンゴ』を置いている(1位『テオレマ』2位『ダイ・ハード』2024年1月現在)。ただ、しばらく観ないでいると「7時間半って、さすがにどうにかしようがあったんじゃないか…」「高慢・怠慢の類ではないか…」などと頭をよぎり、その度にあの強烈な画を思い返して無理矢理納得させているのだが、今回、やはり堂々たる2位でしょう、これは、との想いを強くした。

ラストシーン、ある人物が窓を板で塞ぐために、釘を打つシーンがおよそ10分ぐらい続く。4枚ある板で、一枚一枚、少しずつ窓を塞いでいく描写が続くのを観ると「ああ、これは一種の病気なのだ」と。観客は一枚目と四枚目の描写があればすべて把握できるのに、それをしないのは病的に他人の想像力が信用できないのだ、と。しかし、少しずつ闇に包まれていく部屋、窓の外を垂れる雨、闇の中で釘を打つ位置を確かめる動作。これを本当に我々は想像し得たのだろうか。

MCATM

@mcatm

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