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柴田聡子の新譜が大絶賛されてて、Twitterのトレンド入りまで果たし、まあこれはどう考えても「よいやつ」のパターンっしょ、と思って聴いたら良い。そら良いんだけど、でも(ここからは面倒くさいやつの戯言なので聞かなくて良い→)「洗練の宿痾」について考えてしまったね。逆に言うと、大衆向け音楽家としての覚悟、バリバリ決めましたよ、という宣言でもあると思った。「みんな聴いてるから、俺はいいかな」。昔、fut!?くんがよく言ってた台詞、今でも印象に残ってて、そういうモードに入る時は確かにある(←ここまでは面倒くさいやつの戯言なので聞かなくて良い)。岡田拓郎さんの洗練されたサウンドプロダクションは確かに素晴らしいと思った。しばらく、日本の歌謡曲について、議論の中心に位置するような盤っぽいので、どういうつもりで制作したのか、読んでみたいなと思いました。

今日の一枚:Devon Ross - Oxford Gardens

HBO版『イルマ・ヴェップ』で、レジーナを演じていたデヴォン・ロスのEP。サーストンのレーベルより。ソングライティングに関しても、演奏に関しても、録音に関しても、はっきり洗練とはほど遠いんだけど、「Killer」みたいな良い曲もあるから、今後の活動は気にしておきたい。適当に一枚だけ出してお茶を濁す、みたいなのは厭だな。


教養ある黒人文学者が、大衆の「ニーズ」に併せてステレオタイプな黒人を演じて執筆した小説が大ヒットしてしまうという皮肉めいた『アメリカン・フィクション』。そもそも母親の介護費用が必要になる…というタイミングで書き始めた本なわけで、「売れたなら…」という皮算用は頭のどこかにあったはず。その下心を隠して、小賢しく振る舞うからややこしいことになる。「本当の自分を隠すこと」が、様々な場面で必要とされる現代の世相をグリグリえぐるような物語だった。ゲイの兄が受け入れられたところがサラッとしていて感動的だったのと、結論の押しつけを放棄してみせたラストの展開が良かったです。

MCATM

@mcatm

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